Find your new style!

会員番号:

住宅のマネーと制度

2024.04.15

家の建て替えに必要な費用はいくら?利用できる補助金も紹介

土地ありの家の建て替えの際は、新しく土地と家を買うより手間と時間を要する部分もあり、要注意といえます。

本記事では、家の建て替えに必要な費用はいくらくらいかや、利用できる補助金ほか費用を抑える方法もご紹介します。

INDEX

家を建て替える際の費用相場

家を建て替える場合、住み慣れた場所で新しい家を持つことはメリットが大きいうえ、土地代が不要な点は費用面でもとても有利です。しかし、建て替えで独自に必要となる手間や費用もあります。

まず、新築するためには元の家の取り壊しの費用がかかります。

また、今住んでいる家を取り壊す場合は、仮住まいと引っ越しのための費用も計上しなくてはなりません。最近は今の家を売る住み替えの際も、住みながら売却する方が増えているのですが、建て替えは仮住まい必須です。

元の家から仮住まい、新居へと往復する形となるため、引っ越しの費用は2回分が必要でしょう。

このほかに、建て替えの場合に追加となる可能性があるのは、地盤改良の費用です。近年の基準に従って家をつくるうえで、あらためて現在の地盤の状態を良くすることが望ましい場合があるためです。

建て替えは新居の規模や家族の数などによって予算はさまざまですが、上記のような建て替え特有の費用のみを合計すると、相場は180~370万円ほどになります。

建て替えに至るモチベーションですが、以下の点が挙げられています。

今のお住まいに困っていることはありますか?

2012年 おうちクラブ調べ

家を購入したら付けたい設備は?

2022年 日本トレンドリサーチ調べ

建て替えの費用について、以降で詳細をご説明します。

家を建て替える際にかかる費用の項目

新しい家づくりにかかる通常の費用と、建て替えにかかる費用を含めて、それぞれの項目の内訳を確認しましょう。解体・建築・税金ほかの諸費用の3つに分けてご説明します。

家の解体に必要な費用

家の解体に必要な費用は、取り壊す家の大きさや構造によって違いが出ます。

構造による価格差は、下記の表のような違いのほかに、壊す建物がアスベストを使用している場合は健康対策が必要となるため、費用が高くなります。

家屋の構造 解体費用相場(坪単価) 30坪の家の場合の費用相場
木造 3~5万円 90~150万円
鉄骨造 3.5~6万円 105~180万円
鉄筋コンクリート造 4~8万円 120~240万円

建築の際も関わってきますが、機材の搬入や、廃材の搬出の困難な場所の場合は、人力での作業が増えるため、作業費が増えるケースがあります。

また、上記の家屋本体の費用のほかに、ガレージやブロック塀などの外構の取り壊しや、植栽の伐採・伐根や移植をする際は、別途の費用が必要となります。

新しく住む家にかかる費用

家を新築する際の費用は、家の構造、使用する建材、建築の依頼先などで大きく異なります。大量生産の建材をうまく利用し、プランが標準仕様で工法も均一という、カスタム要素の少ない家は割安で建てられるでしょう。

構造は木造より鉄骨造や鉄筋コンクリート造のほうが高くなり、建築面積や、前述の現場作業の容易性でも工事価格に違いが出ます。

延べ床面積30坪の家を坪単価70万円で建てれば、本体工事費は2,100万円です。通常は本体工事費の3割ほど、付帯工事費がかかるため、合計で約2,730万円と考えられます。

付帯工事は上下水などインフラの引き込み工事、外構工事などです。付帯工事が見積もりにどのように含まれているか、あるいは含まれていないかで価格が変わります。

とくに建て替えの場合、外構は従来の塀などをそのまま活かすかどうか、上水道の取り回しに変更はないかなどが当初あいまいになりがちですので、よく確認が必要です。

税金などの諸費用

家づくりに関する費用以外に、以下の諸費用が必要である点も、念頭に置くようにしましょう。

印紙税

印紙税は、建築の工事請負契約書などの文書に課す税金で、必要な額面の収入印紙を契約書に貼付して消印を押すことで納税となります。

契約書に記載されている金額によって税額が決まります。額面1,000~5,000万円は2万円、1億円までは6万円までが納税額です。(2024年3月31日までは、上記より軽減税率を適用)

建築工事の請負契約は電子契約が可能で、その場合は印紙税の納税義務はなくなります。電子契約に対応できるかは、工事の発注先にお問い合わせください。

登録免許税

登録免許税は、建て替えの場合に新築した家の所有権保存登記や、ローンを組んだ場合の抵当権設定登記にかかる税金です。解体した家の滅失登記には課税されません。

計算方法は、所有権保存登記の場合で、新築の家の固定資産税評価額×0.4%です。抵当権設定登記の場合は、住宅ローンの借入額×0.4%となります。

固定資産税評価額は、住宅で建築費のおよそ50~60% で、建築費そのものではありません。

不動産の登記は司法書士に依頼することがほとんどですが、その際に別途司法書士への報酬が2~3万円程度必要です。

不動産取得税

不動産取得税はマイホームを購入した際にかかります。住宅の計算方法は、2026年3月中の取得の場合で、固定資産税評価額の3%です。

ただし新築の居住用住宅で50~240㎡の広さに該当すれば、課税標準の固定資産税評価額から1200万円が控除できます。

たとえば2000万円の建築費なら、固定資産税評価額が60%として1200万円となり、そこから1200万円が控除されて、納税額は0円です。

火災保険・地震保険料

火災保険、地震保険は建物の大きさと構造、どこまでの補償を得たいかで金額の幅があります。ただし、建物の評価以上の保険をかけたり、複数社で重複して加入したりすることで補償を厚くすることはできません。

住宅ローンの融資を受ける場合は、一定以上の火災保険の加入が必要な場合が多いです。

非耐火・木造 東京都 地震保険あり 5年間の一時払い保険料
例1 建物1000万円 地震500万円  家財100万円 約17~18万円
例2 建物2000万円 地震1000万円 家財300万円 約33~35万円
例3 建物3000万円 地震1500万円 家財500万円 約49~52万円

※2024年3月 損保6社シミュレーション

家づくりに関わる税金や保険料は、都度制度が変更されて金額も変動します。常に最新の情報をチェックするようにしましょう。

仮住まいの費用

項目 相場 賃料8万円の場合の必要額
家賃 4〜6ヶ月分
(仮住まい期間による)
32〜48万円
礼金 賃料1〜2ヶ月分
(不要の場合あり)
8〜16万円
敷金 賃料の1~2ヶ月分
(不要の場合あり)
8〜16万円
家賃保証料 賃料0.5~1ヶ月分 4〜8万円
仲介手数料 賃料の1.1ヶ月分
(消費税込の上限額)
8.8万円

このほかに、鍵の交換費用や火災保険料が必要です。

短期間の仮住まいなので、定期借家契約の賃貸物件があれば、相場より割安の賃料や諸費用で借りることができます。

ただし、契約期間中の途中解約は原則できず、逆に期間を超えた居住は再契約が必要になるなど、新居の工期に合わせた退去が難しくなります。柔軟に対応してもらえないか、大家さんに交渉してみましょう。

引っ越しの際に、すべての家財や荷物を仮住まいに運ぶのではなく、新居近くのトランクルームを借りる方法があります。あまり使わないものはそちらに保管したほうが、仮住まいの家賃や引っ越し料金を節約できる場合があります。

料金の相場は、立地や容積によりますが屋外型で月額5,000~13,000円が主流です。

引っ越し費用

前述のように2回分が必要となる引っ越し費用は約30万円からで、荷物の量や距離などによって増額されます。建て替えを機に断捨離や家財の新調をすれば、引っ越しのコストは下がります。

近年は2月から4月にかけてなどの進入学や異動、転職の多い時期は引っ越しの需要が多く、予約が取れないことが増えているので、該当時期の引っ越しの場合は、早めの予約をおすすめします。

地盤調査と地盤改良

地盤調査による地質の確認は、建築確認申請や、施工会社が住宅瑕疵保険に加入するために必須です。そして地盤調査の結果、耐震性に問題があるなどの場合は、地盤の改良工事をおこないます。

費用の目安としては、地盤調査は木造家屋や一般的な鉄骨造家屋でおこなわれることが多いスウェーデン式サウンディング試験で5~10万円程度です。

地盤改良工事の費用相場は、もっとも一般的なコンクリート表層改良工法で30~50万円程度です。地盤にセメント系凝固材を混ぜ合わせる工事をおこないます。

住宅ローン手数料

建て替えの費用を借り入れする場合、住宅ローンの手数料や団体信用生命保険料、保証料が必要となります。

団体信用生命保険はローンの名義人にもしものことがあった際に、住宅ローンの残債を引き受けるものです。保証料はローンの支払いが滞った際に立替をおこなう保証契約です。保証契約を結んでも、滞納した債務の返済義務は消えません。

手数料と団体信用生命保険料は対象物件や借主の属性(勤務先や収入など)、健康状態などでまちまちです。保証料は借入額の2%程度 となります。

家の建て替えにかかる費用のシミュレーション例

予算別で3つの事例を通して、建て替えにかかる予算を具体的にイメージしてみましょう。解体や建築のコスト、税金などは変動しますので、あくまで目安です。

【予算1000万円】小さめの家に建て替え

20坪の家を取り壊して同程度の木造ローコスト住宅の建て替えなら、総予算1000万円以内も不可能ではないです。コストダウンのポイントは解体と新居の仕様となるでしょう。

費用 相場
解体にかかる費用 60~100万円
新しい家の建築費用 700万円
諸費用 印紙税 2万円
登録免許税 1.7万円(所有権保存登記のみ)
不動産取得税 0円(優遇措置による)
火災保険・地震保険料 17〜18万円 (金融機関による)
仮住まいの費用 賃貸の費用 70〜100万円
引っ越し費用 20万円
合計 870.7~941.7万円

【予算3000万円】大きめの家に建て替え

敷地や予算にゆとりがあり、30坪台の少し大きめの家、あるいは設備や性能に凝った家をつくる場合は、2900~3000万円の予算が考えられます。土地代がかからず、頭金も潤沢な場合は、家の耐久性やデザインなどに力を入れることもできるでしょう。

費用 相場
解体にかかる費用 90~150万円
新しい家の建築費用 2,500万円
諸費用 印紙税 2万円
登録免許税 6万円(所有権保存登記のみ)
不動産取得税 9万円
火災保険・地震保険料 39〜42万円
仮住まいの費用 賃貸の費用 100〜150万円
引っ越し費用 30万円
合計 2,776~2,889万円

【予算5000万円】二世帯住宅への建て替え

この二世帯住宅は50坪ほどを想定しています。二世帯の場合、建築費や仮住まいの費用なども相応にかかるため予算は膨らみますが、親世帯との共同出資で、完全分離にしないことで費用を抑えられます。

費用 相場
解体にかかる費用 150~250万円
新しい家の建築費用 4,500万円
諸費用 印紙税 2万円
登録免許税 11万円(所有権保存登記のみ)
不動産取得税 45万円
火災保険・地震保険料 49〜54万円
仮住まいの費用 賃貸の費用 120〜180万円
引っ越し費用 60万円/td>
合計 4,937~5,102万円

家の建て替えにおける住宅ローンについて

これまでのご説明のように、建て替えならではの出費も多いため、住宅ローンの利用が必要な場合も多いでしょう。建て替えで住宅ローンを利用する際に、知っておいたほうが良い点を解説します。

家の建て替えで住宅ローンを利用すべきか

令和3年度の国土交通省の調査によると、家の建て替えの場合の住宅ローンの利用率は47.8%、自己資金の割合は55.4% となっています。

同調査で、土地を含めて取得する住み替えの方の住宅ローン利用率は、84.1%です。事情を比較すると建て替えは土地代金が不要なこと、今まで家賃の出費がなかったことで、資金計画上の借り入れの割合は低いといえます。

しかし住宅ローンは現状金利の低い融資なので、手元の資金を不要に減らさないためにうまく利用することも合理的でしょう。

建て替えで使用できる住宅ローン

建て替えの際に元の家のローンの残債がなければ、通常の住宅ローンの融資を受けます。しかし残債がある場合は一括返済して、金融機関の抵当権を抹消しないと取り壊しができません。

この場合は建て替えローンを借りて、残債と新しい家の資金の両方の借り入れをおこないます。残債分の金利は、借り換えとなるため新しいローンとの差額が清算となります。

二世帯住宅の借り入れの場合は高額となることも考えられますが、親子リレーローンを利用することで、長期返済が可能です。ただし、親の返済能力が審査対象として注目されるので、事前に確認しましょう。

建て替えで住宅ローンを利用する場合の注意点

建て替えローンの注意点は、建物完成後に融資が実行される=お金が入金されることです。つまり、工事請負契約の手付金や中間金、仮住まいや引っ越しの費用などは手元の資金で支払うか、別の借り入れを準備することになります。

金融機関も、このような用途のためのつなぎ融資や、使途自由なフリーローンを準備していますので、借り入れの際に相談すれば、そちらも考慮した審査を進めてもらえるでしょう。

つなぎ融資の相談を含め、一つの金融機関にまとめて相談したほうが話が早く、包括的な相談ができるためおすすめです。

家の建て替えにかかる費用を節約する方法

建て替えには多くの種類の出費があるため、その分費用を抑える方法はさまざまです。代表的なコスト削減の方法をご紹介します。

解体費用を抑える

解体費用は、依頼する業者によって見積額にかなりの開きが出ることがあります。複数の業者から見積もりをもらって比較しましょう。

また、極力初夏や秋口などの閑散期に依頼することと、解体業者に直接依頼することで中間マージンが発生せず、費用に差が出ます。

中間マージンとは逆に、建築と一緒に解体を依頼することで安くなる場合もあるため、双方の比較をおすすめします。

また、不要な家財や庭木は極力ご自分で最寄りの処理場に持ち込めば、その分作業費用が減る点は覚えておきましょう。

建築費を抑える

家づくりは設計によって施工費用にかなりの開きが出ます。長方形などのシンプルな外形で、屋根は片流れか切妻、部屋の仕切りも少ない間取りにすることがおすすめです。

二世帯住宅も、2軒分の間取りに近い完全分離型ではなく、水回りなどを共有した部分共有型のほうがコストを抑えられます。それぞれのご家族のライフスタイルが優先ではありますが、比較してみる価値はあるでしょう。

逆の発想として、完全分離型の1世帯分を将来賃貸併用に用いる方法もあります。ただし事業用となる関係で、住宅ローンの借り換えが必要となりますので注意が必要です。

外構をシンプルにする

塀ではなく生け垣にする、駐車スペースの舗装を急がないなどの方法で、外構の費用を削減することもできます。庭の植栽や外構は今後のDIYも検討しながら、建築当初はシンプルにしておくのもおすすめです。

業者に依頼する部分も、複数の業者から相見積もりを取り、業者に直接依頼するとコストが下がる可能性がある点は、解体業者と同じです。

工法や設備を低価格にする

同じ間取りや広さでも、在来工法かツーバイフォーかや、木造か鉄骨造かなどで価格は変わります。コストだけでなくそれぞれのメリット・デメリットも念頭に、複数の業者から設計と施工の見積もりをもらいましょう。

水回りなどの設備も、グレードによって価格に開きがあります。「ここはお金をかけ、ここはシンプルに」など、メリハリのあるプラン選択が、後悔のない家づくりのコツです。

設備は大手ハウスメーカーなどでは、長期にわたったメンテナンスが可能なかわりに、傾向として割高となっています。逆にローコストのパワービルダーでは、大量発注によって設備や建材のコストを下げています。

仮住まいの費用を抑える

仮住まいは、広さや場所の利便性、築年数によって、同じ広さでも賃料に大きな差があります。諸費用も賃料に比例することが多いため、「少し不便で古い」という選択肢にすると、コストカット効果は大きいでしょう。

もし可能であれば、実家などを利用できれば仮住まい費用は基本的に不要になるため、検討してみましょう。

引っ越しも梱包、運搬などまで家族で済ませてしまう方もおられます。

給付金や補助金・減税措置を利用する

家の取り壊しや建て替えの場合、国や自治体からの給付金や補助金が受けられることがあります。

建て替えで申請する助成金の、おもな観点は以下です。

  • ● 老朽化した家屋の危険防止の解体補助
  • ● 街の景観保全や危険防止の解体補助
  • ● 塀など古い外構の危険防止の解体補助
  • ● 省エネルギー住宅性能の施工補助
  • ● 建材ほかの地球環境配慮の施工補助
  • ● 耐震性能など防災性能の住宅補助
  • ● 住宅取得者の経済負担軽減の助成金

上記の観点で減税の対象にもなる場合がありますので、家づくりの予算を計算する際には、そちらも要チェックです。

現在の制度から何の助成金や減税の特例が利用できるのかを、建て替えの計画段階から建築会社や不動産会社に相談しながら確認してみましょう。

注意点として、各種制度は先着申込で定員があるケースや、年度によって内容が変わるなど流動的な部分があります。

自治体のホームページや相談窓口で、最新の情報を確認のうえ、早めに申請を進めましょう。

まとめ

家の建て替えに必要な費用はいくらくらいかや、利用できる補助金ほか費用を抑える方法などをご紹介しました。

満足度の高い家づくりは、早い段階の準備と予備知識、良い相談相手が必要となります。とくに建て替えの場合は事前の計画と準備が、費用の面で後悔しないために大切です。

予算を追っていくとスケジュールも自然に輪郭がはっきりするので、新居の完成が楽しみになるかと思います。新居の仕様が大まかにできた段階で、全体の試算をしてみることをおすすめします。

© Housing Stage All rights reserved.

この記事はハウジングステージ編集部が提供しています。

この記事をシェアする

おすすめ記事 他の記事を見る

pagetop